LED(発光ダイオード)の基礎知識

3mm径の電球色LEDの登場で、ますます、LEDの利用が進むと思いますが、LEDの取扱いについて整理しておきます。

####LEDに逆電圧をかけてはいけない
LED(発光ダイオード)はその名の通りダイオードの一種ですが、整流ダイオードと同様に考えてはいけません。概ね、5Vが絶対定格となっています。したがって、これを超えた電圧がかかると急速に劣化が進むか、すぐに壊れます。これまでの、ANALOG給電では、順行電圧があまり高くないことと、直列抵抗を挿入しているために、あまり表面化はしませんでしたが、DCCの場合には、常にMAX電圧(12-15V)がかかっています。従来の車両を、DCCでそのまま利用するには、内部回路構成を知っておく必要があるでしょう。

####LEDの直列抵抗の役割
LEDに直列抵抗が必要なことは、ご存知だと思いますが、何故必要かを理解しておいた方が良いと思います。LEDには順方向電圧というパラメータがあります。これは、一般的なLEDでは約2V,白色LEDでは、3.6Vになっています。実際には、使うLEDのデータシートで確認しなければなりません。

例えば、5Vの電源があって、順方向電圧2VのLEDを直接繋いだとしたらどうなるでしょうか?

LEDは、両端の電圧が2Vに降下するまで、電流を流そうとします。もし、電源が貧弱であれば、電源電圧が2Vまで下がりますが、強力であれば、LEDに大量の電流が流れ込んで、
ついには、定格電流を超えて破壊に至ります。いわゆる、”定電圧特性”があるといえます。”定電圧特性”とは、両端電圧が一定になるように電流値が調整されるという意味です。

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室内灯の回路例

具体的な回路は、以下のとおりです。

室内灯の回路例

抵抗値は

– 線路電源電圧
– ブリッジ回路に使用するダイオード順電圧(2本分)
– 使用する、LEDの順電圧
– LEDに流したい電流値

によって決定します。

簡易的には、図の、V+点をテスターで測ってそれから、最大電圧を余裕を持って推定しても良いでしょう。

例えば、図の例では、ダイオードの順電圧を0.6Vとすると

> V+ = 12 – (0.6 * 2) = 10.8V

ここで、使用するLEDの順電圧が3.6Vであれば。抵抗 1K ohm の両端には

> Vr = (10.8 – 3.6) = 7.2V

になるように電流が流れますから

電流値は 7.2/ 1000 = 0.0072 (7.2mA) となります。

この回路では、コンデンサを接続していますが、これは、集電不良対策で
ちらつきに対して有効に働きますが、容量の大きなものは、充電電流も増加するので
十分に気をつけてください。

####定電流素子の利用
上記にて、抵抗値の算出方法を示しましたが、少し問題があります。
”線路電圧が環境によって異なる”ということです。DCCの規格によると
スケールを考慮しなければ、線路電圧は、7V-27Vまで想定しなければなりません。

実際には、概ね12-14Vが採用されているので、神経質になることはありませんが、
運用環境では、線路電圧の低下もあります。つまり、LEDの照度をもっと確実に固定したいのであれば、抵抗制御は適しません。この場合には、抵抗の代わりに定電流ダイオード(CRD)の使用が有効です。ただし、定電流ダイオードは、逆方向にも電流が流れるので、
上記回路のダイオードは省略できないので注意が必要です。

線路電源を活用する

以下の記事も「DCCらくがきノート」から修復して転載したものですが、文章と画像の関係がわからなくなってしまったので、図から判断して入れています。もし間違っていたら教えてください。 (taknom)

交流から直流に変換するには、整流器(ダイオード)を使いますが、その選定に関しては、一般的には、定格電圧、定格電流しか考慮されないと思います。ここが、
大きな落とし穴で、通常の電源用のダイオードと云われるものの想定条件が、50-60Hzの商用電源であるということです。

ダイオードとは電流を一方向にしか流さないと、思い込んでいないでしょうか?

手持ちの一般整流用ダイオード、1N4007を使って実験してみました。実験回路は以下のとおりです。

1N4007_sch.jpg

1k ohmの抵抗器で約11mAの電流を取ってみます。

(1N4007.gif) 画像がありませんでした。「DCCらくがきノート」からダウンロードした画像をお持ちでしたら、提供をお願いします。

電流が、5usecもの時間、完全に逆方向に流れているのが観察されます。(緑の輝線)
黄色の輝線はDCCの元の信号です。

次に、S1ZB10という、ブリッジ整流器を試してみます。この整流器は
表面実装で小型であるため、これを搭載している模型もあります。
実験回路は以下のとおりです、電流値を測定するために、10 ohmの抵抗器を挿入しています。

s1zb10_sch.jpg

まず、C点の出力電圧を見ます。

s1zb10.jpg

わずかですが、約200nsの時間電圧が逆になっています。
このときの電流値(a-b間の電圧降下)は、以下のとおりです。

s1zb10_2.jpg

極性反転直前では、約12mAを示していますが、ピーク値で約500mA流れています。
そして、約2usecのあいだ平均100mA程度流れてしまっています。
また、1k ohm抵抗の代わりに、100mAの電球を繋いで見ました。

s1zb10_3.jpg

ピーク値で、0.8Aも流れていて、ダイオードも熱くなってきました。
これは、無用な発熱を招くばかりではなく、コマンドステーションに過負荷を強いることになり、不用意にブレーカが働く原因となります。
つまり、
”DCC電源の整流に一般整流ダイオード及びブリッジ整流器は使ってはならない”
といえます。

####DCCに使うべき電源ダイオード

– 小電流 100mA以下であれば、高速スイッチングダイオード
– 大電流 100mA以上であれば、ショットキーダイオード

ここでは、高速スイッチングダイオードについて、検証してみます。
ここでは、1S2076Aを使ってみます。データシートでは、

> Reverse Voltage:60V

> Average forward Current:150mA

> Reverse Recovery Time:8ns

この、逆回復時間(8ns)というのが、重要な要素です。一般ダイオードではこのパラメータは表示されていません。(50-60Hz前提)

結果を以下に示します。
回路は、ダイオード1本の整流で1Kohmの抵抗負荷で、全く問題なく整流できています。

1S2076A.jpg

負荷を100mAの電球に替えてみました。ダイオードは全く熱を持っていません。
10ohmの抵抗を直列に挿入して、両端の降下電圧を計測しています。約90mA流れているのが観測されています。

1S2076A_2.jpg